東京高等裁判所 昭和34年(ネ)2662号 判決
次に、原審共同被告江守清が前記(イ)の部分の土地を占有し来つたことは当事者間に争がない。しかし、原審における被告江守清本人尋問の供述、原審並びに当審における控訴人大野三郎本人尋問の供述によれば、(イ)の部分の土地は控訴人大野において使用せず空地となつており、江守はその隣地で薪炭商を営み、大野の父親とは三十年来の知合いという関係があつたところから、大野が要求すれば直ちに明渡す約旨の下に右江守に対し一時無償で薪炭等の置場に使用することを許したものに過ぎないことが認められる。そして、被控訴人が右江守において薪炭等の置場に使用したため何等かの不利益を被むつたようなことは認められないので、右のような事実があつただけでは、控訴人大野に賃貸借を継続し得ないような被控訴人に対する背信行為があつたとはいえない。従つてこれを以て、本件土地に対する賃貸借を解除する権利が生ずる原因であると認めないのが相当である。
(薄根 元岡 渡部)